干し椎茸の旨味を活かしたボロネーゼソースの作り方【シェフの隠し味】

パスタ

チャオっす!シェフのたまぞうです。

皆さんは『旨味の相乗効果』というものをご存じでしょうか?
何となく聞いたことある方も多いんじゃないでしょうか

「かつお節(イノシン酸)」×「昆布(グルタミン酸)」等が有名ですね、
事なる旨味成分を掛け合わせる事で何倍にも旨味が増幅する、という物

この2つの旨味成分の他に、干し椎茸に特に多く含まれる『グアニル酸』という物があります。

今回は皆大好き『ボロネーゼソース』の中で
「牛肉(イノシン酸)」×「干し椎茸(グアニル酸)」を組み合わせていきます。
(ちなみにパルミジャーノ・レッジャーノにはグルタミン酸が非常に豊富です)


前置きが長くなりましたが、
この記事では『レストランの修行時代に学んだ基本的な作り方の解説に加え干し椎茸の使い方、入れるタイミングをあわせてご紹介していきます』ので、是非最後までご覧ください!!

ボロネーゼとは

牛肉と香味野菜を赤ワインで煮込んで作るソース、つまりミートソースですね。


もう少し深く解説していきますと

イタリア北部 エミリア・ロマーニャ州の街、美食の都『ボローニャ』発祥のパスタです。

昔はイタリア南部で素朴な調理方で食べられていたパスタ料理を「もっと美味しく」と
当時のお金持ちがワインやお肉、野菜を煮込んで贅沢に食べ始めた。
というのが始まりだとか。

材料 (パスタソース:1㎏分程)

牛挽き肉約400g合い挽きでもOK、粗挽きがオススメ!
玉ねぎ約300g(1個半)ソフリットの比率はお好みで変えてください
にんじん約100g(3分の2本)
セロリ約100g(大サイズ1本)
ブラウンマッシュルーム40g (1パック)
干し乾燥椎茸30g
赤ワイン200㏄
トマトペースト1本『カゴメ』さんの物(18g)
ローリエ1枚
約、程と書かれた物は目安量となります

個人的にはひき肉は粗挽きの物がお肉感があってオススメ!

また、今回はお家で作る事を想定して省きましたが
レストランでは干し椎茸と一緒に『乾燥ポルチーニ』も入れていました。

より高級感のある仕上がりになります、興味のある方は是非!

作り方

干し椎茸を水で戻す

今回の主役、干し椎茸を冷水で戻します。
何故冷水かと言いますと干し椎茸に含まれる旨味成分は5℃前後の時に一番よく抽出されるからです。

また、40℃から60℃で旨味成分を壊す成分が生成され(80℃付近で停止するそうです)
100℃付近ではいくつかの旨味成分が壊れてしまうようです。

そのまま最初から煮込むには非常に繊細なので仕上げに混ぜ込む形で使っていきます。



「最終的に刻んで使うから」というのもありますが、「細かくした方がより味が出るかな?」
と思ったので僕は刻んでから戻しました。


実の厚さにもよりますが、十分に抽出するには6時間以上かかるので
出来れば前日に用意するのがオススメ!

野菜の皮で出汁(ブロード)を取る

香味野菜を切る前に、煮込む際に使う野菜の出汁(ブロード)を取ります。

ピーラーでにんじん、セロリの皮を剥き
皮、芯、端材、セロリの葉等と水600㏄にローリエを1枚入れ
沸騰したら弱火にして10分
煮出します。

種類は多い程美味しい出汁が取れるので、日頃の料理で出た物やハーブの茎等があれば是非!

香味野菜を切り出し、ソフリットをかける

ソフリットとは?

「軽く揚げた」という意味のイタリア語
低温の油で炒めて香味野菜の甘味とコクを引き出したペーストを指す

香味野菜とマッシュルームは細かな微塵切りにします。
(ご家庭にフードプロセッサがある方は使ってください)

セロリ→にんじん→玉ねぎの順に炒めるのがオススメ。

全て一緒に入れてしまうと先に玉ねぎの水分が抜けて蒸された状態になり
セロリやにんじんの香りが立ちづらくなります。


生のセロリ臭さが抜けてふんわりした香りが出て来たらにんじんを
にんじんの水分が飛んで甘い香りが出てきたら玉ねぎを入れ、塩をしていきます。
香りを乗っけていくようなイメージです。

炒め加減はお好みもありますが、僕は30分ほどかけて甘さと香りを引き出しました。
「軽い口当たりが好き」という方は炒め具合を軽めに調節してください。

ひき肉にしっかり焼き目をつける

ソフリットを火にかけてる間に並行して、ひき肉に焼き目をつけます。

両面に塩をふってから熱したフライパンにひき肉をに入れ
フライパンを動かさずに両面をしっかり焼きこみます。

この茶色い焦げ色が旨味のもとになります!


全体に焼き目がついたら一度バット等にあけておきます。

肉を焼いたフライパンでマッシュルームを炒め、赤ワインを煮詰める

ひき肉を焼いたフライパンは洗わずに、残った脂を使ってマッシュルームを炒めます。
サッと炒めったらOK、これもバットにあけておきましょう

更にそのまま洗わずに赤ワインを200㏄加え
5分の1程度になるまでしっかり煮詰めていきます。

最後の最後にフライパンを洗う前にデグラッセをお忘れなく!
(少量の水を入れて鍋肌についた旨味をすすぐ事)

材料を合わせ、90分弱火で煮込み、一晩寝かせる

・十分に炒まったソフリット
・焼き色がしっかりついた肉
・煮詰めた赤ワイン
・ブロード(500~600㏄)
・ソテーしたマッシュルーム
・トマトピューレ(1本)

材料が全て整ったら鍋に合わせ
ぎりぎり沸騰する程度の弱火で90分フタをせずじっくりと煮込んでいきます。

15分おきくらいに鍋を混ぜがてらアクを引いてあげると丁寧です。

茶色い泡がアクですね、
この時に脂を一緒に捨てないようにお気をつけて!

干し椎茸と戻し汁を加え、一晩寝かせる

ここで干し椎茸、満を持しての登場です。


汁ごと鍋に移して煮出します、上述した通り
40℃から60℃で旨味成分を分解する酵素が出るようなので
強火で一気に80℃以上に引き上げ、沸騰させない温度を保ちながら10分煮出します。


戻し汁と一緒に椎茸をボロネーゼの鍋に加え
粗熱が取れたら一晩冷蔵庫で寝かせて 完成!

ボロネーゼはソース作りの段階で仕上がっているので、温めたらすぐ使えます
黒胡椒やバターで味を調えてパスタと絡めれば優勝間違いなし。

調理例

フェットチーネと絡めて




茹でたスパゲッティに上からたっぷりかけた
「こういうのでいいんだよ こういうので」な喫茶店スタイル


まとめ

いかがでしたでしょうか?

僕は旨味の相乗効果を活かした料理には可能性を感じています。

出汁という日本独自の文化は海外に向けても通用すると思いますので
皆さん是非試してみてください!

まとめ

・干し椎茸は冷水で一晩かけて戻す
・野菜の皮や端材で出汁をとる
・香味野菜はしっかり甘さを引き出す
・牛肉は焼き色をつける
・赤ワインはしっかり煮詰める
・弱火で90分、ゆっくり煮込む
・干し椎茸は80℃以上で10分煮出す
・一晩寝かせて馴染ませる


それでは、また。Arrivederci!!

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